2024年4月15日聞き返されない話し方のポイントとは?
★話は相手に聞こえてナンボ
話が相手に伝わるかどうかは、話の内容や話の仕方に左右されます。
しかし、それだけでなく、話す表情や態度、話すスピードや滑舌なども大切な要素です。
特に、話すスピードや滑舌は重要です。
早口だったり、発音が曖昧だったりすると、相手に言っていることをきちんと聞き取ってもらえません。
これは伝わる話をする上で、致命的な問題です。
相手が、あなたの言っていることを聞き取れて、初めて「わかる」「わからない」の判断ができます。
言葉がきちんと聞き取れないと、そもそも相手はこの判断もできません。
話は相手に聞こえてナンボ、なのです。
★発音が曖昧な人は意外に多い
日本話し方センターの話し方教室では、毎回、スピーチ実習を行っています。
話し方教室の受講生は、当然ながらその話し方や話の内容に改善の余地があります。
その中でも、受講開始間もない頃の多くの人の改善点が、『言葉をハッキリと発音する』ことなのです。
私たちは日頃話す内容は意識して考えますが、発音の仕方にはさほど注意を払いません。
しかし、実際には、相手が聞き取れないような発音をする人が意外に多いのです。
先日、受講生のKさんが教室でスピーチをしました。
そのスピーチの中で「この間、友達とエスに行きました」という一節がありました。
私はその一節を聞いて、「『エス』? 『エス』って何だろう?」と考えてしまいました。
そして、あれこれ考えている間、その後のスピーチが聞けなくなってしまいました。
後で分かったのですが、Kさんはフェスティバルを略した「フェス」と言ったのだそうです。
このスピーチは、Kさんがそのフェスで体験したことのお話なので、どこに行ったのかを聞き手がきちんと聞き取れないと、話が理解できません。
この話に大切な「フェス」という単語がきちんと聞き取れないKさんの話し方には、問題があるといわざるを得ません。
実は、Kさんは、以前から滑舌に改善の余地が大きく、おまけに早口でした。
なので、以前から言葉が時々聞き取れないことがあったのです。
★聞き取りやすい言葉にする
Kさんの例のように、この言葉をきちんと聞き取ってもらいたい、という大切な単語は、ハッキリと発音する必要があります。
そのために、主に次の3つのことに留意していただきたいと思います。
1つ目は、聞き取りにくい言葉は聞き取りやすい言葉に置き換えることです。
「フェス」という単語は短いし『フ』はどうしても弱い発音になるので、聞き取ってもらいにくい言葉です。
こういう言葉は、「ジャズフェスティバル」や「バンドコンテスト」など、聞き取りやすい言葉にしてください。
聞き取りやすい言葉は、同時に話しやすい言葉でもあるので、ハッキリと発音しやすくなるというメリットもあります。
★少し『間』を置いて、ゆっくり発音する
2つ目は、大切な言葉の前後に少し間を置いて、ゆっくり発音することです。
「フェス」という言葉を話すなら、
- 「フェス」という言葉の前に少し間を置いて
- 「フェス」をゆっくりと大きめの声で発音し
- 発音した後、少し間を置いて、次の言葉を話す
テキストでこれを表現するのは難しいのですが
「この間、友達と フ ェ ス に行きました」
という感じで話します。
こうすることで、「フェス」という大切な言葉を、聞き手が聞き逃すことが少なくなります。
★滑舌よく話す
そして3つ目は、滑舌よく話すことです。
日本人は一般的に滑舌が悪い人が多いといわれています。
滑舌が悪い理由は主に2つです。
- 口をきちんと開けていない「あ」なら口をタテに大きく開く、「い」なら口の端をしっかりと引くと、明瞭な発音ができます。
しかし、この口の形をきちんと作らないまま発音すると、歯切れが悪くあいまいな音になってしまいます。
話し方教室では、口をきちんと開けるように「口の体操」を何度もやります。
これを家で毎日やっている人は滑舌が格段によくなってきます。 - 子音の発音が弱い日本語は母音が強いので、普通に発音すると子音がとても弱く聞こえます。
先述の「フェス」も「フ」の「F」の発音が弱いと、私が聞き間違ったように「エス」と聞こえてしまいます。
滑舌が悪い人の話は、はっきりと聞こえない部分を推測しながら聞くので、聞き手はすごく疲れます。
人に気持ちよく話を聞いてもらうために、滑舌をよくすることはとても大事です。
以上、言葉をはっきりと聞き取ってもらうための留意点を3つお話しました。
先述の受講生のKさんは、「口の体操」を普段でも励行し、スピーチ実習でゆっくり話す訓練を繰り返しました。
その結果、コースを修了する頃には、以前とは見違えるようにはっきりと発音するようになりました。
「職場でも聞き返されることがなくなりました!」と嬉しそうに話してくれました。
人から「今、何て言ったの?」と聞き返されることが多い方は、上に述べたことを実践してみてください。
きっと聞き返される回数が減っていくはずです。
★話し方を学んで人生を変えましょう!
日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナーでは、このブログで紹介したポイントを含め、はっきりと発音するトレーニングをご指導しています。
講師のアドバイスを素直に受け入れて訓練を重ねた方は、例外なく発声が良くなり、聞き返されることも少なくなったと仰っています。
あなたもぜひ受講して、明瞭に発声するスキルを手に入れてください!